トランペッターでボーカリストのチェット・ベイカーが亡くなる直前に撮影されたモノクロのドキュメンタリー映画(撮影期間中に亡くなった)。巷では、ドラッグとの絡みがメインで語られるチェットベイカーだが、「破滅型のジャズマン」など沢山いるので、実はそこが魅力なわけではない。
確かにドキュメンタリーで語られる、彼の人間性はろくでもない。しかもヤク中とくれば、普通なら、こんな人が周囲にいても、交友を結ぶのは誰でも勘弁と思うかもしれない。
だけど、ちょっと想像して欲しい。もし、その男が、
ジェームスデイーンばりにハンサムで、
甘く優しい不思議な魅力の声を持ち、そして、ステージではクールなトランペットを聞かせる。
そんな男が、貴方に優しく話しかけてきたなら、
拒絶できるだろうか?
正直、私には自身がない。ドラッグで破滅的な人生を歩む前の二枚目のチェットならいざしらず、皺くちゃな老人のチェットでさえ、容姿は衰えど、その不思議な眼差しは変わらない。
そして「あの声」。
本質的なところは枯れたといえど変わらない。やはり魅力的なのだ。
映像だけとってみても、流石はブルース・ウェーバー。ドキュメンタリーの性質上、やや距離を置いて撮影しているように見えるが、画面には隈無くチェットの魅力が溢れている、観て、決して損はないDVDだと思う。
因みに、チェットは、その声ならずとも、トランペットの腕前もチャーリー・パーカーに認められた折り紙つきだ。もし、機会があれば、聴いてみることお薦めしたい。
最後に、チェットもブルースも犬好きらしく、そんなところも私が彼等が好きな理由だ。
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