読みたいんだけど手には入らない、だからこそ、その本に惹かれてしまう。
そんなことって、ありませんか?
読書好きな人なら、ついつい本に引き込まれて読むのを止められない経験をしたことがあると思います。また、そんな本に出会いたいと、つねづね思っているかもしれません。寝なければいけないと頭で理解しているのに、最後の一行までページをめくるのを止められずに、くやしさと清々しさの入り交じった感情と一緒に朝を迎える、そんな体験を与えてくれる魅力的な本。
恩田陸さんの『三月は深き紅の淵を』は、
そんな読書にひきこまれた人達、そして幻の小説が主人公が物語の小説です。

この小説も、とてもステキな本ですのでネタ晴らしはなしで、あくまでストーリーを触り程度にご紹介します。
作中にある小説が登場します。その小説は非常に希少で、一般には全く流通していません。題名は『三月は深き紅の淵を』と呼ばれていますが、とにかく存在自体が謎だらけで、作者すらも不明です。その存在するかどうかも不明な小説を巡って、様々な人達の物語が展開します。
作中に名前がでてくる『三月は深き紅の淵を』という小説は、仮に実在していたら、確かに読みたくなる本だと思います。本の内容についても、少しだけなのですが文中にヒントが書かれています。
例えば、小説が4部構成であること、各章のタイトル等などが明かされていて、詳細はわからないけれど、内容がなんとなく想像ができるようになっています。勿論、自分で勝手に想像するのですが、その辺は恩田陸さんが、ワザと読者にそうさせるように仕向けて書いている節があり、心憎いでほど、本好きのツボを押してきます。
ちなみに、このエントリーを書いている最中に、ふと疑問が湧きました。
とても読みたいのに、絶対に読むことが叶わない、
そんな幻の本は自分にもあるのか?
・・・
・・
・
はい、ありました。
意外と簡単に思いつきました。
ちなみに、どんな本か説明する前に、その作者自体を軽く説明してみましょう。
彼は、23歳で処女作である小説『アヴァロンを求めて』を書き上げてピューリッツアー賞を受賞。誰もが次の出版を望んだにもかかわらず、『完全なる信義』という小品を除くと、次の作品を長い沈黙を守って発表しませんでしたが、亡くなる前、最後に一冊だけ書きあげました。
読みたいですね。でも、読むことは出来ません。
作家の名前はウイリアム・フォレスター、最後の作品名は『Sunset』
そう、映画『小説家を見つけたら』の中に出てくる作家と小説の名前です。
映画を見て頂くと共感してもらえると思うのですが、本当に読みたくなるんですよ。『完全なる信義』も『Sunset』も、ブックフェチを悶絶させるような内容の映画なので、逆に本好きには少しだけ微妙な気持ちになる映画なのですが、内容はとても良いのでやはりおすすめです。
どうでしょう、貴方にも、そんな本がありますか?
追記:
ちなみに、フォレスターのモデルはJ・D・サリンジャーじゃないかといわれています。
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