【書籍】吉本隆明「五十度の講演」

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吉本隆明さんの講演集。糸井重里さんが編集のコンパクトなCD&BOOK。自身の監修した「ベスト50講演」とも言えるボリュームのあるスペシャルセットの2種類。via ほぼ日刊糸井新聞

私としては、吉本氏の著作に全く触れたことがない人が読むのであれば、入り口として「言葉からの触手」を薦めたい。

言葉からの触手 河出文庫 / 吉本隆明 【文庫】

彼の著書を読んだことがある人でならば、彼が思想家であり、詩人でもあることは知っていると思うが、「言葉からの触手」には、吉本氏の両エッセンスが含まれているし、読み切るのに長くならない程度の文章で構成されているのも良い点だと思うので、彼の考えに触れる入り口としては最適だと思う。

僕の成分の何十パーセントかはビートルズでできていて、同じように何十パーセントとかは吉本さんでできています。ビートルズの音源はいまだに有料のまま、多くが残っていますが、吉本さんに関しては、ため池そのものの存続が危ない。音楽は別にして、今まで物を考えたり、しゃべったりしてきた人たちは、どんなに高名でもみんなそんなもので、吉本さんもそのうちの1人だったと言えなくもない。だって夏目漱石が松山の学校で教えていたときのテープなんてないですものね。あったら聞きたいでしょう。
――聞いてみたいですね。
糸井 森鴎外が医者として講義しているところとか、もっと遡って本居宣長や、賀茂真淵がどこかで話しているところとか、全部聞きたいですよ。でもないんですよ。せいぜい小林秀雄の講演集が4本ほど出ているぐらいです。そんな状況の中で、吉本さんに関しては講演テープがあるわけで、だったら、今の時代以後は、人の話も保存できるぞ、と思いまして。

思想が音声で残っていくという事は、書籍で継承されていくのとは違った意味があり、素晴らしいことだと思う。なので、こういうプロジェクトは諸手をあげて賛同したい。もし、今まで彼の著作に触れたことがない人でも、日本の戦後思想界の巨人である吉本氏の生の声・思想に触れる事自体は決して悪くないと思うのだが、如何だろう?

最近の写真を拝見すると、ただのおじいちゃんに見えるが、「五十度の講演」の表紙の写真は、切れまくっている頃の吉本氏だ。真正面を見据えるポートレートには、やはり特別な存在感やオーラがありありと出ているように思う。

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