【書籍】Slightly Out Of Focus

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永遠のCapa

世界には多くの写真家が存在する。だけれど「写真」という言葉を聞いて、脊髄反射的に名前が連想できる写真家といえば、自分には数えるほどしかいない。私にとって、そういうアイコンとしての写真家の筆頭は、やはり『Capa』になると思う。

ロバート・キャパ(Robert Capa)、本名はフリードマン・エンドレ・エルネー、ハンガリー生まれユダヤ系の著名な戦場カメラマン、報道写真家。

キャパの口癖だったと云われている一言に、実に素敵な言葉がある。

「もし、君の写真が良くないとすれば、それは君が充分に近寄っていないからだよ」

一般的に、この言葉は被写体との距離を指して「物理的な距離」とあわせて、被写体との「心理的な距離」について語っていると言われているけれど、本当はもう少しシンプルに考えても良いのでと思っています。

キャパは戦場カメラマンとして、兵士とともに同じ前線に立ち、危険に身をさらして、戦場で写真を撮った人だったので、戦場カメラマン、報道写真家として立場を考慮すれば、「どんな状況であっても、被写体のいる場所に赴いて」さらには「その被写体に(物理的に、可能な限り)近寄って」写真を撮るという行為は基本のキだったのだろうと思う。

とはいえ、現場に赴いて当然の事をするという事実が、その赴く先が戦場という極限の場所であれば、その基本の履行がどれほど難しいことだろう?

Slightly Out Of Ffocus /ちょっとピンぼけ

エントリーの『Slightly Out Of Ffocus /ちょっとピンぼけ』は、キャパらしいユーモアとセンス溢れるタイトルだけれど、この題名は映画『プライベート・ライアン』でも描かれたノルマンディ上陸のD-Day(作戦決行日)に選出されたカメラマンとして、キャパは多くの兵士と一緒にノルマンディ上陸を敢行した時の経験を元にしていて、キャパは敵の銃弾や砲撃の中、兵士達と現場の光景を写真に収めたけれど、既に幾度の戦場を経験した彼であっても、あまりの凄まじい戦場での恐怖に震えて写真がちょっとピンぼけてしまった。キャパは、そんな経験をもとにして、タイトルをつけた訳です。

ノルマンディー上陸作戦(ノルマンディーじょうりくさくせん)とは、第二次世界大戦中の1944年6月6日に行われたオーバーロード(大君主)作戦を指す(Operation Overlord)。ナチス・ドイツによって占領された西ヨーロッパへの侵攻作戦。最終的に、300万人近い兵員がドーバー海峡を渡ってフランス・コタンタン半島のノルマンディーに上陸した。史上最大の上陸作戦であり、作戦から60年が過ぎた現在までこれを超える規模の上陸作戦は行われていない。
via wikipedia
引用

キャパは敵の銃弾や砲撃の中、兵士達と現場の光景を写真に収めるていく。既に幾度の戦場を経験した彼でさえ、あまりに凄まじい戦場での恐怖に震え、写真がちょっとピンぼけてしまったわけです。

本の中でも、「写真を撮って、命からがら船に逃げ帰り、ついでに失神までした」と言及していて、そんな自分は臆病者だと云う箇所もあるのですが、もちろんそんな事で、彼の勇敢さや、プロとしての仕事ぶりの評価が1ミリでも落ちるわけではありません。

むしろ、そんな極限の状況に正面から向かい、シャッターを切るという実にシンプルな作業に命をかけていたからこそ、「もし、君の写真が良くないとすれば、それは君が充分に近寄っていないからだよ」と告げる、彼のシンプルな言葉に重みがあるのでしょう。

キャパは「ライフ」誌から第一次インドシナ戦争の取材依頼を受けて、南ベトナムに渡り、従軍中に地雷に抵触、爆発に巻き込まれ死亡したとされている。その際、カメラを手にしたまま死んでいたといわれ、その瞬間の最後のショットさえもあるという話もあります(事実かはわからない)。

こちらのサイト“ロバート・キャパ最期の日”で、彼の死を詳しく追いながら検証しています。

ついでにいうと、世間ではモノクロ写真のイメージが強いキャパなのですがカラー写真も残っています。コダックブルーで有名なコダックフィルムを利用して撮った写真は非常に鮮やかです。

マグナムのサイト“Capa in Color”で写真が確認できるので、興味がある方はどうぞ。

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