技術をどう習得するか 習得への情熱 ― チェスから武術へ

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こんにちは!ジャイアン(@GIANSTEP1)です。

今日は「技術をどう習得するか」という話をしたいと思います。
投資でも仕事でも、ただ努力するだけでは伸びなくなる瞬間ってありますよね。僕もずっとそこに悩んできたタイプだったので、このテーマは個人的にも思い入れがあります。

そんなときに出会って救われた一冊が、ジョッシュ・ウェイツキンの『習得への情熱 チェスから武術へ』です。チェスの天才が武術でも世界トップになるという、一見すると無茶な話ですが…読み進めると「この人は学び方の構造を理解しているんだな」と納得する内容でした。

この記事では、ウェイツキンの考え方をベースにしつつ、投資や仕事にも応用しやすい形で“学びのOS”として整理していきます。


1. この本は“才能の話”ではなく“OSの話”

上達の裏側には、だいたい共通の仕組みがあります。

ウェイツキンは子ども時代にチェスの神童として注目され、大人になってから太極拳で世界トップに立ちます。分野が違いすぎて不思議なんですが、本人は「才能よりも学び方を研究し続けてきただけ」と語っています。

本書が面白いのは、細かなテクニックではなく抽象度の高い“上達の土台”を説明している点です。「技術」ではなく「技術をどう扱うか」の話が中心なので、どの分野にも応用できるんですよね。

ただし、ちょっと一部ストイックすぎるところもあるので、全部丸飲みするより、合う部分だけ拾って自分の文脈に落とすと扱いやすいと思います。

これは学習本全般に言えることですが、「自分の生活にフィットする形」に翻訳しないと続かないので。


2. 伸びる人は“能力の捉え方”が違う

「こういう考え方をする人は伸びやすいよね」という話です。

2-1. 実体理論と増大理論

能力は固定?それとも伸びる?という考え方の違いです。

“実体理論”の人は、「自分は〇〇が得意/不得意」と決めてしまいがちで、失敗を“才能の欠如”と感じてしまいます。
一方“増大理論”の人は、「できなかったら、できる状態に育てればいい」と自然に考えるタイプ。

研究でも、増大理論の人のほうが失敗に対する心理的耐性が高く、長期の成長率が上がると言われています。

ただ、重要なのは「結果を気にしない=成長志向」ではないことです。
結果はちゃんと見るべきで、見ないと成長の方向性がズレたり、変なクセがついたりすることがあります。

2-2. 結果とプロセスはセットで扱う

結果だけ見ても危ないし、プロセスだけでも危ない。

よく「結果よりプロセスが大事」と言われますが、それを鵜呑みにしてプロセスだけを見ていると、本番で強くなれません。
プレッシャーのある場面で力が出ない理由は、意外と「結果から逃げていること」にあるんですよね。

結果とプロセスを両方みると、

  • 何が偶然で
  • 何が再現性ある判断で
  • 何が改善ポイントなのか

が急にクリアになります。

投資の“賭けのプロセス”もまさにこの話で、「勝った/負けた」だけを見ても学びが残らないのはそのためです。


3. 成長には「負の投資」がつきもの

新しいスキルは、最初は必ず下手です。

3-1. 最初の負けは“必要経費”

上達中は、一時的に成績が落ちるのが普通です。

ウェイツキンはこれを「負の投資」と呼びます。
たとえば、武術で新しい動きを身につけるとき、慣れた技を捨て、意図的に“負ける期間”を受け入れないと技が定着しないんですよね。これは投資の新戦略導入にも同じことが言えます。

最初は勝率が下がります。でも、それがないと長期のリターンは伸びないわけです。

3-2. ただし、無理しすぎると普通に壊れる

負の投資は“余裕がある前提”で使うものです。

ウェイツキンはめちゃくちゃストイックなので、彼の負の投資は人によっては危険にも見えます。
重要なのは、“安全に負けられる設計”です。

  • 生活費を脅かさない
  • 心が折れるほどの負荷をかけない
  • 長期で続けられる量に調整する

この三つを守れば、負の投資は成長を加速する武器になります。
守らないとただの自滅コースになります。


4. 不快さ・逆境は“使い方次第で武器になる”

イヤな状況も、ちょっと工夫すると伸びる材料になります。

4-1. 外部要因はノイズ扱いでOK

外側の出来事を“自分の課題”にしない、という考え方です。

ウェイツキンは試合中に相手が集中を乱す行為をしてくる場面でも、自分の思考を止めない練習を続けました。
これって現実の仕事環境でも使えて、たとえば「SNSの煽り」「市場の騒ぎ」に引っ張られない技術と同じ話です。

4-2. 制約があるほど、学びは濃くなる

条件が悪いほど、実は集中力が研ぎ澄まされます。

片腕骨折のまま片腕だけで太極拳を続けたという話は有名ですが、これは「制約を利用して学びを濃くする方法」の極端な例です。
投資なら、「あえて一つの戦略に限定して検証する」と近い話になります。

4-3. 不快さの耐性が上がると行動が軽くなる

不快を避けるのではなく、慣れると動きやすくなります。

僕らは不快に弱いので、少しの波でも心が乱れます。
ただ、“いま何を見るべきか”に戻る訓練をすると、不快さに振り回される割合がグッと減るんですよね。


5. 直感は「経験の圧縮物」であり、鍛えられる

直感は才能ではなく、“経験のまとめ方”です。

5-1. 直感はただの「圧縮データ」

大量の経験が、瞬間的な判断にまとまったものです。

羽生さんが「直感は7割当たる」と言う理由は、彼がデータの塊だからです。直感とは“統計的な経験の圧縮”に近いものなんですよね。

5-2. チャンキングで判断が早くなる

共通パターンを“ひとまとめ”にすると、脳の負担が減ります。

これが増えていくと、局面の雰囲気だけで“だいたい正しい判断”ができるようになります。投資も同じで、ボラ・出来高・ニュースなどの組み合わせが「体でわかる」状態に近づきます。

5-3. 直感は練習で精度が上がる

意識して鍛えると、直感は“使える武器”になります。

基礎を繰り返し、記録を取り、直感が当たったとき・外れたときの理由を分析する。
このループを回すと、直感が経験ベースの“半自動判断システム”に育ちます。


6. パフォーマンスは「休む力」で安定する

集中力は“休み方の質”で決まります。

6-1. 回復スピードを鍛えると強い

短時間で切り替えられると、日常のパフォーマンスが安定します。

「負荷をかける→休む」をセットで意識すると、集中の立ち上がりが早くなります。仕事でも 50分集中→10分休憩 みたいなリズムを作るだけで、生産性がけっこう変わります。

6-2. 自分用の“集中スイッチ”をつくる

ルーティンがあると、スイッチの入り方が安定します。

取引前のチェックリストや、仕事前のルーティンなど、毎回同じ順番で行う小さな儀式を作ると、自分の心が自然に“集中モード”に入っていきます。


7. 投資にもつながる“学びのOS”

学習OSが整うと、投資の判断もぶれにくくなります。

ウェイツキンの話は一見スポーツのように見えますが、構造は完全に「賭けの思考」と一致しています。
投資に必要な、

  • プロセス思考
  • 成長の捉え方
  • 不快さ耐性
  • 直感と検証
  • 集中と回復のループ

あたりは全部この本とつながっています。


8. まとめ:上達は“OSのアップデート”

スキルの前に、OSが変わると伸びやすくなります。

学びのプロセスには必ず不快さや負荷がつきものですが、それを「成長中のサイン」として扱えるようになると、上達のスピードが変わります。

もし最近伸び悩みを感じているなら、技術を増やすより先に“学び方のOS”をちょっと調整してみると、思った以上に進みやすくなるかもしれません。

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