こんにちは。
前回の記事の続きとして、「仮説行動OSを“どう現場に落とし込むか”」
という、実務に直結する話を書いていきます。
ここからは、僕自身がマネジメントや事業づくり、投資判断で使ってきた
“再現性のある実装ステップ”として整理してみます。
1. 仮説行動OSを実務に落とし込む3ステップ
(やることを減らし、動く量を増やす設計)
仮説行動は、原理としてはシンプルですが、実務で使おうとすると
「で、明日から何をどう変えるの?」
となりがちです。
ここでは、僕自身が使ってきた“毎日の運転方法”に近い形で3つに分解します。
1-1. ステップ1:仮説を「1行」にまで圧縮する
(言語化が長いほど行動は遅れる)
多くの失敗は、仮説が長すぎることから生まれます。
1枚スライド、30行のメモ、複雑なロジック。
こうなると、行動が遅れます。理由は単純で、現場で思い出せなくなるからです。
僕のやり方は常に同じで、最初にこれだけ書きます。
「いま検証したい1行の仮説」
例:
・“このサービスは◯◯の場面で喜ばれる”
・“顧客は理由Aより理由Bで選ぶ可能性が高い”
・“この導線を短くするとCVRが上がる”
この“1行”ができると、行動が早くなり、学習量が一気に増えます。
1-2. ステップ2:1日で検証できる“最小行動”に砕く
(行動の粒度を落とすと、反応速度が跳ね上がる)
仮説を検証するための行動が、
・資料を作る
・会議を設定する
・関係部署に相談する
みたいに重くなると、検証までに数週間かかります。
ここで重要なのは、
「1日でできるサイズにまで行動を縮める」
ことです。
例:
・実際の顧客3名にだけ聞いてみる
・LPの最初の見出しだけ差し替える
・価格だけ簡易的にABテストする
・ProtoPieで10分の簡易モデルを作る
この“1日粒度”の行動ができるようになると、
思考→行動→学習→改善 の回転速度が一気に変わります。
1-3. ステップ3:学習ログを必ず残す
(行動は、記録されない限り「積み上がらない」)
行動しただけでは経験値になりません。
学習のコストはゼロではなく、蓄積されなければ“ただ疲れただけ”になります。
僕はObsidianに
「仮説 → 行動 → 結果 → 次の仮説」
というテンプレートを置いています。
例:
■ 仮説
◯◯という機能は、AよりBの理由で使われる。
■ 行動
顧客インタビュー3名。使用シーンの反応を観察。
■ 結果
2名がB理由を明確に支持。1名はA。
■ 次の仮説
“B理由を前面に出したLPのほうがCVRが上がる”
この形式にすると、行動が知識として積み上がり、
翌月・翌四半期の意思決定の質が安定します。
2. 仮説行動を“チーム”に実装すると何が変わるか
(「上からの判断待ち」が消える)
個人では効果がすぐ出ますが、
組織に実装すると、さらに大きな変化が起きます。
2-1. 変化1:メンバーが「自走」し始める
多くのチームでは、判断が上に集中します。
仮説行動を導入すると、
メンバーが自分で「次の一歩」を決められる状態になるので、
指示を出す量が激減します。
2-2. 変化2:ミスが減る
(行動は小さいほど、ダメージは小さい)
1回の行動サイズが大きいと、ミスしたときのダメージも大きくなります。
逆に仮説行動OSでは
「小さく、早く」動くため、
失敗が致命傷になりません。
結果、
ミスの総量は多くても、致命傷はゼロになる
という状態がつくれます。
2-3. 変化3:成果より“学習速度”が競争力になる
不確実性が高い環境では、
どの企業も「正解」を持っていません。
このとき、勝敗を分けるのは
学習の速度です。
学習速度が高いチームは、
自然と成果が追いつきます。
逆に成果だけを追うチームは、
“理由が分からない成否”に振り回され続けます。
3. 仮説行動OSは、投資・学習・ライフプランにも使える
(未来の不確実性は、ビジネスだけの問題ではない)
これは僕の持論ですが、
仮説行動OSはビジネスだけでなく、
投資や学習、キャリア選択にもほぼそのまま使えます。
3-1. 投資:小さく動き、学習量で勝つ
投資の世界では、
「当てる」姿勢ほど負けます。
僕は銘柄選定でも新手法でも、
最初は少額で“検証のために動く”ようにしています。
学習量が増えるほど、投資判断の精度は自然と上がります。
3-2. 学習:完璧な教材探しより“手を動かす回数”
語学も資格も投資理論も、
結局は「使った回数」でしか伸びません。
・まず使う
・間違える
・修正する
これが学習の黄金パターンです。
3-3. ライフプラン:未来は計画より“試し打ち”で開く
転職、海外移住、副業、起業。
どれも、考えても答えは出ません。
・副業を小さく試す
・1週間だけ滞在してみる
・小さなプロジェクトを持つ
未来は行動でしか判断できないからです。
4. 結論:未来は“思考”ではなく“行動の回数”で変わる
『仮説行動』が教えてくれるのは、
「未来の不確実性は、頭で消せない」という事実です。
でも、不確実性は
行動によって“攻略可能な情報”に変わる
という希望も同時に示してくれます。
仮説思考は未来を解像度高く“見る”技術。
仮説行動OSは、未来を“動かす”技術。
この両輪がそろうと、
人生も仕事も投資も、驚くほど動きが軽くなります。
最後に、次の一歩だけ置いて終わります。
明日、あなたが動ける最小の行動は何でしょうか?
・3人に話を聞く
・プロトタイプを10分で作る
・ノートに1行の仮説を書く
・小さく買ってみる
・勉強した内容を今日1回だけ使ってみる
未来を変えるのは、この“1歩だけの行動”です。



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