なぜ賢い企業ほど“実行できない”のか  あなたの会社を止める5つのワナ

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こんにちは! JOL(@GIANSTEP1)です。

仕事をしていると、「うちの会社、頭の良い人は多いのに、なぜか動かないんだよな…」と思う瞬間ってありますよね。
会議は盛り上がる。資料も分厚い。戦略も“なんか良さそう”。
でも、翌週もまた同じ議題がテーブルに戻ってくる。

これ、実はめちゃくちゃよくあります。
というか、多くの会社で“標準仕様”になっています。

原因は、一言でいうと「知識と行動のあいだに深い溝がある」ことなんです。
フェファー & サットンの有名な研究が示しているように、
企業は「何をすべきか」ではなく「なぜ実行できないのか」でつまずきます。

今日はこの“つまずきの正体”を、あなたの会社でも照らし合わせられるように、5つのワナとしてまとめました。

では、いきましょう。


1. 話し合いが「行動した気」にさせる

やったつもり症候群は、とても静かに広がる

会議。資料作成。戦略立案。
どれも仕事に必要なものですが、やりすぎると“仕事ごっこ”になってしまいます。

本質は「準備」なのに、気づくと社員全員が
「いや、今日めっちゃ働いたわ!」
みたいな気分になっている。

BHPのCEOがかつて
「もしプレゼンが本業なら、うちの会社は世界一だ」
と言ったエピソードがあります。
もう笑えません。かなりリアルです。

背景には、言葉がうまい人・資料がうまい人が評価されやすい文化があります。
すると、「決めた=仕事した」みたいな空気が生まれます。

処方箋:会議の最後に“次の行動3つ”をメモして全員で確認する。驚くほど動きます。


2. 恐怖が意思決定を止める

ビビりながら働く組織に、改善は生まれない

恐怖で統制すると、一見シャキッとするんですが、長くは続きません。
人は“怒られないための行動”をとり始めるからです。

アナログ・デバイシズでは、効率改善をした人がレイオフされた経験があり、
社員が「改善するとクビになるかも」と本気で思ってしまいました。

こうなるとどうなるか。
誰も余計な提案をしなくなり、
不具合は隠され、
悪い情報は上に上がらなくなります。

つまり、動かない企業の裏には“心理的安全性の欠落”が潜んでいることが多いんです。

処方箋:「ミスを報告しても評価は下げません」と宣言するだけで、現場が息を吹き返します。


3. 社内競争が学習と協力を壊す

敵が社内にいる会社ほど、弱くなる

個人評価・相対評価・ランキング。
こうした制度は“頑張らせる”効果もあるのですが、
副作用として「協力しないほうが得」という行動が生まれます。

マイクロソフトの例は典型です。
長年、“隣の同僚を助けると自分の評価が下がる”と言われていました。
そりゃ、誰も助けませんよね。

本来、知識労働はチームで学び合わないと成長しません。
でも、制度がチームより“自分の点数”を優先させてしまうと、
組織全体の学習スピードがガクッと落ちます。

一方、強い会社は決まってこう言います。
「敵は社外にいるから、社内はチームでいい」

処方箋:評価制度に“他者貢献”をひとつ入れるだけで、動きが大きく変わります。


4. 測りやすい数字だけを追ってしまう

数字は便利。でも、数字にできないものこそ価値を生む

売上・利益率・KPI。
もちろん大事です。でも、測りやすい数字だけを追うと、見えないところが壊れていきます。

HPは四半期ごとの数字に寄せすぎた結果、
長年大事にしていた“HPウェイ”という文化を弱体化させてしまいました。
数字は上がるけど、会社としての強さは下がっていくという状態です。

逆にシアーズは、
「従業員の態度 → 顧客満足 → 収益」
という因果モデルを設計し、
“数値化しづらい要素”をきちんとマネジメントに取り込んだことで復活しました。

処方箋:数字と同じ重さで「信頼・協力・学習」を測る仕組みを置くと、長期で強くなります。


5. 過去の成功が“聖域化”してしまう

いちばんやっかいなのは、「昔の正しさ」にしがみつくこと

不確実な時代ほど、過去の成功が“心のよりどころ”になります。
ただ、それが行きすぎると「昔のやり方が正解」という空気ができあがります。

GMのサターン部門は改革としてスタートしたのに、
いつしか“自分たちの流儀”が教義のようになり、
外部との学習が途絶えてしまいました。

一方、ニュージーランド・ポストは
「過去はあくまで参考であって、現在の最適解ではない」
という文化のおかげで、大きな変化に対応できました。

処方箋:定例会議で「今もこのやり方が最適?」と1つだけ問い直す習慣を入れてみてください。


まとめ:5つのワナは“静かに連鎖”して組織を止める

止まってしまった会社ほど、意外なくらい“仕組みで止まっている”

これらのワナは、ひとつずつ起きるように見えて、実はつながっています。

話すだけで満足する
→ 恐怖で本音が消える
→ 協力が壊れて学習が止まる
→ 測りやすい数字だけが追われる
→ 過去のやり方が正解扱いになる

この流れが積み重なると、どれだけ優秀な人がいても組織は動けません。
つまり「動けない会社」とは、戦略の問題ではなく、文化と構造の問題なんです。


今日から使える「行動チェックリスト」

小さく点検するだけで、実行力は戻ってくる

・会議の最後に「行動3つ」を記録しているか
・ミスを報告しても評価が下がらない設計か
・評価制度に“他者貢献”が入っているか
・KPIが測りやすい数字だけで埋まっていないか
・過去のやり方を“今も正解”として扱っていないか

というわけで、行動できる組織は「気合」ではなく「構造」から作るという話でした。

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