こんにちは!ジャイアン(@GIANSTEP1)です。
今日は、「株価が上がるのに、なぜリスク扱いされるの?」という、金融の世界でもよく出てくるズレについて書いてみたいと思います。
投資の勉強を始めたばかりの人が必ずつまずくポイントなのですが、これは単なる言葉の違いではなく、金融が前提にしている“世界の見方そのもの” が私たちの日常感覚と食い違っていることが原因です。
とはいえ、この違いを放置したまま投資の話を続けてしまうと、アドバイスの意図が誤解されたり、リスクを過小評価したり、逆に必要以上に怖がってしまうことにもつながります。
というわけで今日は、最初の疑問に戻って「そもそも金融におけるリスクとは何か」を、気負わずサクッと整理してみたいと思います。
金融の「リスク」は日常語と意味が違うんです
(ざっくり言うと“ブレの大きさ”のことです)
少し金融の本を読むと、「リスクを取れ」とか「リスクに気をつけろ」といった表現が頻繁に出てきますよね。でも、ここでいうリスクは、日常語の「不利益が起きる可能性」とは別物なんです。
金融が採用している定義は、“価格がどれだけ揺れるか”。
つまり、上に振れても下に振れても、それが“リスクが高い”状態になります。
これだけ聞くと「上がるのもリスクってどういうこと?」と、もやっとする人が多いと思います。しかし、数理モデルの都合上、金融は「上下の変動を同じものとして扱う方が計算しやすい」ため、この定義を採用しているだけなんですね。
この前提が見えてくると、金融の説明が急に腑に落ちやすくなります。
株価は“ランダムウォーク+ドリフト”で動く
(ざっくり言うと“揺れながら少しずつ上がる”というモデルです)
金融のコンセプト的には、株価は
- 上か下かは予測できない“ランダムウォーク”
- 長期は経済成長に沿って上がる“ドリフト”
この2つで説明されます。
イメージとしては、酔っぱらいがフラフラ歩きながらも少しずつ前へ進んでいくようなものです。
フラフラがボラティリティ、前へ進む力がドリフト。
このとき、フラフラが大きいほど、上に行く可能性も、下に落ちる可能性も“大きくなる”わけです。
そのため、金融では「上がる動きもリスク」と表現されます。
ここまでくると、「ああ、これは日常語のリスクとは違う概念なんだな」と、だんだん理解が深まってきます。
“上がることもリスク”の正体
(危険という意味ではなく“幅が広い”というだけです)
誤解が多いのですが、
金融は「上がることが危険」と言っているわけではありません。
単に、
“平均からのズレが大きいほどリスクが高い”
と定義しているだけなんです。
急騰する銘柄ほど、下がるときも大きく下がる可能性を持っています。
つまり「振れ幅の大きさ」こそがリスク。
「上がった=良い」「下がった=悪い」という日常的な感覚と混ぜてしまうと、途端に分からなくなるのはこのためです。
実務の世界では“損失側だけ”を見る
(ここでようやく私たちの感覚と一致してきます)
とはいえ、運用の現場では、さすがに「上がる動き」をリスク扱いしたりはしません。
むしろ、
- ダウンサイドリスク
- 最大ドローダウン
- VaR
- CVaR
など、“損をする方向”だけを切り取った指標を使います。
つまり、専門家も実務では日常語に近い感覚でリスクを扱っているわけです。
だからこそ、「上がるのもリスク」という説明に違和感を覚えるのは、とても自然な反応なんですね。
私は“ボラ × ドリフト”でリスクを見ている
(目的達成のためにどれだけ幅を許容できるか、が本質です)
ここからは、少し視点を変えて、
私自身がリスクをどう捉えているか の話に移っていきたいと思います。
私の投資OSでは、リスクは単なるボラティリティではありません。
より正確には、
- ボラティリティ(短期の揺れ)
- ドリフト(長期の方向性・成長力)
この2つが重なってできる“上下の幅”こそが、本当に向き合うべきリスクだと考えています。
私はボラティリティを、恐れる対象としてではなく、
長期リターンを手に入れるための“必要事項” と捉えています。
ボラは不快な揺れですが、同時にリターンの源泉でもある。
避ければ避けるほど、資産の成長力(ドリフト)から遠ざかってしまうからです。
つまり、ボラは「なくすべき障害」ではなく、
未来の必要条件を満たすために“引き受ける仕様” なんですね。
この前提を受け入れておくと、途中の揺れに感情を振り回されにくくなり、
本来の目的である“最後のリスクを減らすこと”に集中しやすくなります。
投資家が考えるべきは、「揺れが怖いか」ではなく、
“自分の目的に対して、この幅をどこまで引き受けられるか”
という点です。
一言でいえば、
投資とは“ボラとドリフトのどちらも引き受ける設計のゲーム”
なんです。
まとめ:リスクとは揺れではなく、「引き受ける幅」の話だった
金融はリスクをボラティリティで測る。
実務は損失側を重視する。
そして個人投資家にとって重要なのは、目的を達成するためにどれだけ不確実性を許容するか。
この3つを統合すると、リスクとは
“未来の条件を満たすために、どこまで幅を受け入れられるか”
という、よりシンプルな概念に収束します。



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