こんにちは、JOL(@GIANSTEP1)です。
最近、わりと真面目に生きてきた人ほど、ちょっと疲れている気がします。
仕事もそれなりにやって、家族や周りにも気を配って、致命的な失敗もしていない。
でもなぜか、ずっと余裕がない。
橘玲さんの『シンプルで合理的な人生設計』は、そういう人に向けて書かれた本なんじゃないかな、と思いました。
この本が言っているのは、「もっと頑張ろう」ではありません。
「一回、人生の組み方そのものを見直してみませんか?」という話です。
要約ボックス
- 人生は「金融資本・人的資本・社会資本」の3つでできている、と考える
- 目標は幸せの最大化というより、「後悔を増やさない」こと
- 大事なのは、何を頑張るかより、どこで悩まなくて済むようにするか
- ただし、合理性を使いすぎると、大事なものまで削りやすい
この本、幸せの話はあまりしない
この本、意外と「幸せとは何か」みたいな話をしません。
その代わり、「人生って、どういう部品でできてますか?」という聞き方をします。
金融資本(お金や資産)、
人的資本(働く力やスキル)、
社会資本(家族や友人、人とのつながり)。
まずは、この3つが土台ですよね、という整理です。
感情の話に行く前に、配線図を一回見よう、という感じがします。
合理性って、頭が良くなることじゃない
この本で言う合理性は、「賢い人になる」話ではありません。
むしろ前提は、人はだいたい間違える、です。
だから、
毎回ちゃんと考えるより、
そもそも考えなくて済む形を作った方がいい。
意思決定とか、認知バイアスとか、
前半にその話が多いのも、** 「人は信用しすぎない方がいい」というスタンス** だからです。
合理性って、判断力を鍛えることじゃなくて、判断疲れを減らすことなんだな、と思わされます。
その上で、合理性とは
「自分の時間・お金・注意力を、どこに使うと一番効くかを見る視点」
だと言い切っています。
夢を語る前に、まず配線図を確認しよう、という感じで
ここが合わない人には合わないと思います。
お金の話は、できるだけ雑音を減らす
金融資本の話は、かなり割り切っています。
長期の株式投資はプラスサムになりやすいから、
インデックス投資のような「考えなくていい仕組み」を使いましょう、という立場です。
マイホーム購入を「高レバレッジの不動産投資」と見る視点も、感情と数字を切り分ける訓練になります。
ただ、このあたりは前提条件で結論が大きく変わります。
地域、金利、家族構成が違えば話も変わるので、「考え方を借りる」くらいがちょうどいいと思います。
ただ、このへんは正解を押し付けてくる感じではありません。
前提が違えば、結論も変わる。
だから「考え方だけ持ち帰る」くらいでいいと思います。
人的資本は、努力の話をあまりしない
人的資本の章も、意外と根性論が出てきません。
その代わりに出てくるのが、「どこで戦ってますか?」という問いです。
同じ能力でも、
場所が違えば、評価も報酬も全然違う。
これは冷たい話でもありますが、現実でもあります。
だからこそ、健康とか学習を
「今すぐ結果を出すため」じゃなく
「長く働ける状態を保つため」として扱う、という整理が出てきます。
ここは、地味だけど効きます。
人との関係は、効率で割り切らない方がいい
社会資本の話になると、本書も少しトーンが変わります。
ダンバー数とか、人間関係の同心円モデルとか、
整理の仕方はかなり合理的です。
でも同時に、
「ここをやりすぎると、味気なくなるよね」という含みも残しています。
ギバーとして振る舞う話も、
「いい人になろう」ではなく
「信頼は、あとから効いてくる」という距離感です。
合理性を使うからこそ、
測れないものを全部切らない、という意識が必要なんだと思います。
結局、この本が言っていること
この本の結論は、拍子抜けするくらい地味です。
全部を頑張らなくていい。
むしろ、「やらないこと」を先に決めた方がいい。
投資のルール、
健康のルール、
連絡のルール。
先に決めておくと、迷う回数が減ります。
その分、本当に大事なところにだけ、エネルギーを使える。
この本が刺さる人は、
もう十分ちゃんとやってきた人なのかもしれません。
つまり、次は「どう頑張るか」ではなく、「どう楽になるか」を設計する番なのかもしれません。



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