こんにちは!
JOL(@GIANSTEP1)です。
読み慣れない漢字と数字がずらっと並んでいて、
「これを理解しないとダメなんだよなあ…でも今日は頭が回らない…」
みたいな、妙なプレッシャーを感じる瞬間ってありませんか。
でも大丈夫です。
決算書は、最初から全部を読める必要なんてありませんし、
そもそも“全部理解している経営者”のほうがレアです。
むしろ、決算書は 10個くらいのキーワードだけ押さえれば、かなり読めるようになる という、ちょっと拍子抜けする世界です。
細かい枝葉より、まず「何を見ればいいか」さえ分かれば、数字を見るのが一気にラクになります。
というわけで、今日はなるべく気楽に、そしてなるべくやさしく、
「決算書ってこういうふうに読むと一気に理解しやすくなるよ」という話を書いていきます。
1.中小企業の決算書は“3つだけ”でいい
まず最初に安心してほしいのですが、
「決算書って種類がいっぱいあるから難しい」というのは誤解です。
中小企業が扱う決算書は、次の3つだけです。
損益計算書(そんえきけいさんしょ)
株主資本等変動計算書(かぶぬししほんとうへんどうけいさんしょ)
このうち、実務的に見れば
99%の場面で必要なのは「貸借対照表」と「損益計算書」の2つ だけです。
株主資本等変動計算書は「へえ、こう変わったんだ」くらいで大丈夫です。
中身を全部読める必要はありません。
損益計算書は「儲かったかどうか」という直感的にわかりやすい表で、
貸借対照表は「会社の体力」を表すちょっと硬派な表です。
「体力と儲けだけわかれば十分じゃない?」
実際、その通りなんですよね。
まずはここだけ覚えておけばOKです。
2.損益計算書は“そのまま読んでも使えない”
ここからは、より実務寄りの話です。
損益計算書は、ほとんどの方が「売上高」と「最終利益」だけを見て終わります。
ただ、ここに落とし穴があって…
損益計算書に書かれている数字は すべて過去 のものです。
「先月・先々月はこうだったよ」という結果なので、
未来に向けた打ち手を考えるには、情報が足りないんです。
とくに大事なのはここ。
損益計算書には「販売数量(Q)」が入っていません。
売上高は「金額」だけで書かれていますが、
その金額が「いくら × 何個」の結果なのかが見えません。
だから、損益計算書を見ても
「じゃあ来月どうしよう?」
と考える材料が足りない状態なんです。
ここで役立つのが、次の章の 「MQ会計」 という考え方です。
英語のアルファベット6つを覚えるだけで、
損益計算書が一気に“使える道具”に変わります。
## 3.損益計算書は6つのアルファベットで理解できる
MQ会計では、損益計算書をたった6つの記号で整理します。
| P | Price(販売単価) | 1個いくらで売ってるの? |
|---|---|---|
| V | Variable cost(変動費単価) | 売れた分だけかかる費用(材料費など) |
| M | Margin(粗利単価) | 1個売っていくら残る?(P − V) |
| Q | Quantity(数量) | 何個売れた? |
| F | Fixed cost(固定費) | 数量に関係なく毎月かかる費用(家賃など) |
| G | Gain(利益) | 最終的に残ったお金 |
これを見て「え、これだけ?」と思われたかもしれませんが、
はい、これだけです。
そば屋で例えるとわかりやすくて、
- 1杯800円で売る(P)
- 材料費が300円(V)
- だから粗利は500円(M)
- これが何杯売れたか(Q)
- 固定費として家賃や人件費がある(F)
- 最終的にいくら残ったか(G)
というだけの話です。
そして損益計算書全体は、たった1行で表現できます。
PQ − VQ − F = G
驚くほどシンプルなんですが、
多くの経営者がこの構造を知らないまま「売上だけ」で判断してしまいます。
実は、これが経営を難しくしている最大の原因です。
4.戦略は“4つのアルファベット”だけで作れる
さらに重要なのはここです。
戦略を考えるときは、次の4つを動かすだけでいいのです。
② V:材料費を下げる or 上げる(品質を上げる)
③ Q:売る量を増やす or 減らす
④ F:経費を削る or 投資として増やす
たとえば
- Qをあえて減らして、Pを上げる
- Vを上げて品質を改善し、結果的にQが増える
- Fを少し足して広告を打ち、MQを押し上げる
など、あらゆる戦略がこの4つの掛け算で説明できます。
つまり
「売上」ではなく「P・V・Q・F」を見るほうが圧倒的に本質的 なんですよね。
まとめ:決算書は“全部読めなくていい”
今日のポイントはこれに尽きます。
- 決算書は、まず「P・V・M・Q・F・G」さえ理解すれば読める
- 損益計算書は、そのままだと未来の判断に使えない
- MQ会計に変換すると、戦略が簡単に設計できる
- 経営は「売上」より「粗利構造(MQ)」を見たほうが本質に近い
決算書は“国語の読解問題”ではありません。
全部読む必要も、専門書を暗記する必要もないです。
まずは 6つのアルファベット だけ味方につけてみてください。
それだけで数字がグッと理解しやすくなりますし、
経営の「どこを動かせば利益が変わるか」が目で見えるようになります。
とはいえ、いきなり全部やるのは大変だと思いますので、
まずは「自社のPとQだけ書き出してみる」くらいで十分ですよ。
それだけでも、視界がかなりクリアになります。



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