こんにちは!
今日は「整理」の話なんですが、家の片付けではなく、人の思考を整える整理について書きます。
しかも、佐藤可士和さんの『超整理術』と、『左利きのエレン』18巻の光一のファシリテーションを掛け合わせるという、ちょっとマニアックな回です。
でもこれ、クリエイティブの現場でも、普通の仕事でも、かなり役立つ内容かなと思っています。
人が混乱して止まってしまう瞬間って、どの組織でも起こるので…。
『左利きのエレン』18巻での園宮製薬のリブランディングのシーンは、
“人的な整理”がどのように起きるかの最高のお手本だと思っています。
1. まず「何を決める会議か」を一言で示す
(光一は、場の“もやもや”を一瞬で止める)
リブランディング会議の冒頭。
クライアント側はすでに混乱していて、
「何を話してるんだっけ?」
「本題どこ?」
みたいな空気が漂っていました。
でも光一は最初にサッと言うんですよね。
「今ここで、リブランディングの方向性を決めましょう」
この一言で、会議が“迷子状態”から抜けます。
佐藤可士和さんが言う
「整理とは枠をつくること」
を、光一は実写でやっている感じです。
目的を一言で示すだけで、全員が同じ方向を見るようになります。
これ、シンプルだけど本当に効きます。
2. 情報の関係性をボードに描く
(視点の“地図”ができると、議論がスムーズになる)
光一がホワイトボードに書いたのは、すごく簡単な図でした。
ビジョン → 新名称
→ 広告方針
たったこれだけなんですが、“いま何を考えるべきか”が一気に整理されます。
佐藤可士和さんの整理術では、
「視点を導入する」=構造を見せる
ことが重要だと言われています。
文字だけだと混乱するけど、
線でつながった図になると、急に頭がスッキリする。
この現象、会議では本当によく起きます。
光一がやっているのは、
「全員の思考の地図を一瞬で描く」という作業なんですよね。
3. 問いを使って、“余計な言い訳”を削る
(捨てさせるのが整理です)
園宮部長は最初から、本当はブランドの弱点を理解しているのに、言えずに飲み込んでいました。
主張が言えないと、会議はすぐに散らかります。
「まあ…そうですねえ…」みたいな空気が続くやつです。
そこで光一の問いが刺さります。
・「このブランドの強みは何ですか?」
・「その感覚を、あなたの言葉で言うと?」
・「園宮部長、何が一番大事なんですか?」
質問を投げていくと、
園宮部長の中にある“曖昧な遠慮”が、少しずつ削れていきます。
佐藤可士和さんの「捨てる」は、
モノを捨てるんじゃなくて、判断のノイズを捨てる
という意味なんですが、光一はそれを「問い」で実行しているんですよね。
問いって、すごいです。
4. 言えなかった本音を“外に出すための手”
(光一の「言うんだ」は、整理術の最終工程)
このシーンのクライマックスは、
光一が手を差し伸べて言う、
「言うんだ」
というところです。
園宮部長は、答えがあるのに言えない状態でした。
責任、立場、過去、プライド、色んなものが絡み合って言葉が出ない。
光一はその“詰まり”を見抜いた上で、
あえて黙って待ち、
そして手を差し伸べて、
「言うんだ」
と促す。
これ、完全に佐藤可士和さんが言う
「思考を情報化する」=外に出す
の最終段階です。
そしてついに園宮部長の口から、
会社の本質が飛び出す。
「……うちは、“平日の化粧品”です」
ここで会議室が静まり返るんですよね。
あれは、整理が成功した瞬間です。
5. 人は“言えた瞬間”に、動き出す
(整理は、答えを与えることではなく、答えを出せる状態を作ること)
園宮部長は、本音を口にした瞬間に表情が変わります。
・迷っていた顔から
・前に進む顔へ
こういう変化が、整理の本質です。
整理とは、
相手の中にある答えを、相手自身がつかめるようにする技術
なんですよね。
光一はそのプロセスを丁寧に積み上げて、
最終的にクライアントが“言葉で前に進む”ところまで導きます。
この流れ、まさに「超整理術」の実践編です。
まとめ
佐藤可士和の整理術は“理論”、光一のファシリテーションは“実演”である
光一の進め方は、整理術を人間相手に使ったときの最良のサンプルです。
- 目的を定義する
- 構造を描く
- 問いで削る
- 言語化させる
これが揃うと、人は急に動き出します。
組織の方向性も決まり、会議も前に進み、ブランドの核が浮き上がる。
あのシーンは、整理の技術が人を変える瞬間が、とても美しく描かれていました。
そしてやっぱり最後の一言がすべてを象徴しています。
言うんだ
あれは整理術の“極み”そのものです。



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