こんにちは、JOLです。
前回までの記事では、フェラン・アドリアとエル・ブリが
“偶然ではない創造性”をどう成立させたのかを整理しました。
ただ、映画を見ていて思ったんですよね。
「あれ、これって僕が普段やっている“思考のOS化”とほぼ同じ構造なのでは？」
その瞬間から、
「エル・ブリ→創造OS→R&D→仕事の仕組み→人生のOS」
のラインが一本につながりました。
今日は、フェランの思想をただ紹介するだけではなく、
“ジャイアン視点でビジネスに落とすとどうなるか”
にフォーカスして再構築してみます。
（かなり“私らしさ”のある内容になっています。）
1. 創造性は「結果」ではなく「環境設計」で決まる
（才能ではなく、思考OSの強度の問題だと捉えたほうが良い）
映画を観ていて最初に驚いたのは、
フェランが「天才」というより、
「天才を生む環境を設計する人」だったことです。
僕自身、投資でもマネジメントでも、
「結果＝環境のアウトプット」だと思っていて、
成果を出す人ほど環境整備に時間を割いています。
エル・ブリ式の創造システムは、
この原則を極限までやった結果なんですよね。
料理の世界は、めちゃくちゃ“属人”が多い。
なのに彼らはそれを次のレベルに持っていった。
創造を“環境設計の問題”に翻訳した。
これが僕の中で一番しっくりきたポイントでした。
2. “棚卸し”は創造性のインストール工程である
（ジャイアン視点：棚卸し＝環境の初期設定）
フェランがやった一番地味で、一番重要な仕事。
それが創造性の棚卸しでした。
これ、僕がいつも書いている
“OSとしての思考整理”と構造が完全に同じで、
・過去の成功パターンを可視化する
・そこに使った判断基準を抽出する
・暗黙知を言語化する
・再現できる形に整える
このプロセスをやらないと、
「再現可能な創造性」は絶対に成立しません。
よく「自分は独創的じゃない」と言う人がいるのですが、
個人的には、創造性が足りないわけではなく
棚卸しの工程が抜けているだけだと感じています。
3. フェランの“3要素”は、JOL視点では「OSの三層構造」
（歴史→現在→未来は、そのまま再現すべき思考手順）
フェランの3要素は、こう言い換えられます。
・歴史を参照する（OSの一次情報）
・現在を別視点から捉える（OSの最新アップデート）
・未来にしかないものを生む（OSの拡張性）
これって、僕が投資・意思決定・学習でも
必ず行っている三段階なんですよね。
未来っぽいものを作ろうとすると、
つい「新しい手法」だけ探しがちですが、
新しさって、
「歴史×現在」の掛け算が連れてきてくれるもの
なんです。
フェランはこれを“基準”にしていた。
基準があるから、みんな同じ方向に創造できる。
これが組織としての強さをつくっていました。
4. 権限移譲＝“他者にOSをインストールする作業”
（これはマネジメントではなく「複雑性の分担」です）
映画の中で特に印象的だったのが、
フェランの側に立つキープレイヤーたちの存在でした。
普通なら、「天才の横に立つ人」は苦労します。
言語化されてない世界で働くことになるからです。
でもエル・ブリでは、
・基準
・カタログ
・手順
・思想
が全部共有されていた。
つまり、
「フェランのOSを、他者が実行できる状態」になっている。
これが権限移譲の本質で、
会社でもチームでもまったく同じです。
任せられないのは、才能の問題ではなくOSの不一致です。
これが僕自身、管理設計をするときにいつも気にしている部分です。
個人の能力より、まず共通言語。
5. エル・ブリは「二つの時間軸」を同時運転していた
（ジャイアン視点：これは“投資的思考”そのものです）
フェランは
・R&D（未来）
・運営（現在）
を完全に分けていました。
これ、投資・人生設計でも同じ構造です。
すべてを“今”に寄せれば、短期的な成果は出るけれど、
長期的なリターンはゼロになります。
逆に“未来”だけ見ても、組織は維持できない。
フェランはこの両軸を絶妙なバランスで運転していて、
これが組織の持続的な創造性を担保していました。
つまり、
未来リターンを見据えた投資的運営をしていた。
この「二軸構造」に気づくと、
エル・ブリの成功ってむしろ自然なんですよね。
6. 公開すればブランドが崩れる？
フェランの答え：「崩れるブランドは、そもそもブランドではない」
これは完全にジャイアンの持論なのですが、
ブランドの本質って“模倣不可能な核”のことだと思っていて、
形だけ真似されても全然揺らがないのが本物です。
フェランの公開戦略は、まさにこれを証明していました。
レシピや技術を公開しても、
“思想のOS”はコピーできない。
だからこそ、公開すればするほど
「本物だけが持っている魅力」が際立つ。
僕がよく記事で書く
「可視化されても揺らがない構造こそ強い」
という概念が、そのまま体現されていました。
7. ここまでをビジネスに持ち込むとどうなるか？
（結論：組織は“偶然に頼らない創造体”に変わります）
フェランの思想をビジネスに実装すると、
組織はこんな状態になります。
・判断基準が統一される
・創造性の再現性が上がる
・暗黙知が資産化される
・権限移譲が成功する
・個人依存から脱却する
・長期視点のR&Dが育つ
・ブランドの核が明確になる
つまり、
創造性が偶然ではなく“構造”として回り始める。
これはどんな分野でも使える考え方です。
8. 最後に：
フェラン・アドリアから学べる“創造の本質”は、実はとてもシンプルです
創造性とは、
・環境設計
・OSの整備
・基準化と棚卸し
・情報の公開
・権限移譲
・複数時間軸の管理
といった“地味な作業”の積み重ねです。
天才のひらめきではなく、OSレベルの整備。
そしてその思想は、
ビジネスでも、投資でも、日々の意思決定でも、
じつは同じように使えます。
「創造性 = 再現可能な仕組みである」
この視点を持つだけで、
働き方も、学び方も、チーム作りも、
かなり軽くなるのでは？と思っています。
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