こんにちは、ジャイアン(@GIANSTEP1)です。
多くの人は、投資における「リスク」を「お金を失う可能性」と単純に理解している気がします。
この理解は間違いではないが、十分ではありません。
なぜなら、それでは投資判断の質を高めることができないからです。
それに、投資における「リスク」を誤解したままでは、長く生き残れない。
リスクを理解する上での私にとってのメンターともいえるハワード・マークスは
リスクを「価格変動」や「怖さ」ではなく、投資成果を左右する構造要因として捉えています。
この記事ではは、その考え方を初心者にわかりやすく、
誤解を少しでも外していければと思います。
それでは、まず
あの最も一般的で根深い誤解から確認していきましょう。
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1. リスクの正体は損失の可能性だけでは説明できない
初心者が最初につまずくのは、「ハイリスク=ハイリターン」という理解です。
多くの教科書では、リスクとリターンが右肩上がりの直線で示され、
両者が比例関係にあるかのように説明されてます。
しかし現実の市場では、リスクを取ったからといってリターンが増える保証は存在しません。
マークスが指摘する核心は
「リスクが高い」とは結果の振れ幅が広がることを意味する、
という点にあります。
この認識の転換が、次の理解につながっていきます。
不確実性としてのリスク
リスクとは、期待値の上下にどれだけ結果がブレるかという問題。
結果が大きく上振れする可能性がある一方で、同じだけ下振れする可能性も高まります。
つまり、リスクは「利益の源泉」ではなく、「不確実性の増幅装置」に近い。
この視点に立つと、投資で本当に避けるべきものが明確になってきます。
本当に恐れるべきリスクとは
マークスが強調する最大のリスクは、短期的な価格変動(ボラティリティ)ではなくて。
永続的な元本喪失の可能性です。
一時的な含み損は回復する余地がありますが、確定した損失は将来の選択肢を奪います。
この区別を誤ってしまうと、相場下落時のパニック売却という、
最悪の意思決定につながることが多くなります。
では、なぜ人はこのリスクを正しく認識できないのでしょう?
2. 賢い投資家は、リスクを「市場心理」から読み取る
投資におけるリスクは、価格そのものよりも人々の態度によって増減します。
マークスの有名な逆説は、「リスクは、誰もがリスクを感じていないときに最大化する」というもの
これは直感に反するかもしれませんが、市場の構造を考えると実は合理的な考えなんです。
市場の状態を二つに分けて整理してみます。
楽観が支配する局面
強気相場では、多くの投資家が将来を楽観し、リスクを軽視します。
その結果、リスクに対する見返り(リスク・プレミアム)が低下し、
価格は本質的価値を上回ることが多くなります。
このとき、表面的には安定して見えていても、実は下方リスクは最も大きい状態にある。
リスクは消えたのではなく、価格に織り込まれなくなっているだけだからです。
悲観が支配する局面
一方、弱気相場では、投資家はリスクを過剰に恐れます。
小さな不確実性に対しても大きな見返りを要求し、資産は割安に放置される。
見かけの不安定さとは裏腹に、実際のリスクは低下している場合が多くなります。
この対比が、一般的には逆張りという行動原理の背景にあります。
3. リスクは「避ける対象」ではなく「管理対象」
リスクを完全に排除することは
誰にとっても、不可能ですし、実のところ市場にとっては、
その必要性も、意味もありません。
リスクをゼロにすれば、リターンの機会もゼロになる。
個人にとって重要なのは
リスクを引き受ける際に破綻しない構造を作っているかという点だ。
なので、ここでマークスは、「予測」よりも「準備」を重視しています。
予測ではなく準備に集中
市場や経済を正確に当て続けることは、誰にもできない。
優れた投資家は、将来を当てようとする代わりに、外れたときの耐性を設計しておくこと。
この発想が、本質的な意味でのディフェンシブ(防衛的)投資につながっていきます。
ディフェンシブ投資の2つの柱
第一に、大きな損失を避けることを最優先する。
勝ちを積み重ねる前に、退場しないことが必要条件になる。
第二に、安全域(マージン・オブ・セーフティ)を確保する。
価値より安く買うことで、不確実性や分析ミスに対する緩衝材を持つようにする。
この二つが揃って初めて、リスクは「制御可能なもの」になってきます。
4. まとめ:初心者が最初に身につけるべきリスク認識
本稿の要点は、次の三点に集約される。
- 「ハイリスク=ハイリターン」という発想を捨てよう
リスクは利益の保証ではなく、結果の不確実性である。 -
市場の感情とリスクを切り離して考えよう
楽観の中にこそ大きなリスクがあり、悲観の中にこそ機会が生まれる。 -
予測よりも生存性を優先しよう
間違えたときに致命傷を負わない設計が、長期成果を左右する。
リスク理解は知識ではなく、判断の癖に近い。
一度で身につくものではなく、経験とともに更新され続ける。
この視点を土台に、投資判断を積み重ねていくことが、賢明な投資家への最短ルートです。
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