なぜ私は「賭けの思考」にチェックリストを組み込むのか – 正しいはずなのに、うまくいかなかった話

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導入|正しいはずなのに、うまくいかなかった話

こんにちは。
今日は「賭けの思考」と「チェックリスト」の話を書きたいと思います。

振り返ってみると、
「その判断、自体は間違ってなかったと思うんだよな…」
と感じる失敗って、意外と多くないでしょうか。

投資、仕事、キャリア選択、健康管理。
方向性は合理的だったし、当時の自分なりにちゃんと考えていた。
それなのに、結果だけを見ると崩れている。

ここで多くの人は、
「判断が甘かったのかも」
「自分の見通しがズレていたのかも」
と考えます。

でも、私は少し違う見方をしています。
この違和感は、期待値の話だけでは説明できないのではないか、という話です。



1|期待値が正しくても、途中退場したら回収できない

賭けの思考の基本は、とてもシンプルです。

  • 長期でプラスの期待値を持つ選択をする
  • 短期のブレには耐える
  • 破産しない賭け方を徹底する

この中で、いちばん重要なのはどれか。
私は迷わず、「途中で退場しないこと」だと思っています。

どれだけ期待値が高くても、
途中で資金・健康・信用のどれかが尽きたら、回収はできません。

人生や仕事も、これとほぼ同じ構造です。

  • 戦略は間違っていない
  • 方向性も合理的
  • でも、凡ミスや実行エラーで崩れる

このとき起きているのは、
「判断の失敗」ではなく、途中破産みたいな状態です。

ここに、チェックリストの話がつながってきます。


2|今の時代の失敗は「知らなかった」より「できなかった」

外科医アトゥール・ガワンデは、失敗をこう分類しています。

  • 無知:そもそも知らなかった
  • 無能:知っていたのに、できなかった

現代で多いのは、圧倒的に後者です。

これは、賭けの思考で言い換えると分かりやすい。

ガワンデ 賭けの思考
無知 ゲーム選択ミス/戦略ミス
無能 実行エラー/賭け金管理ミス

ここで大事なのは、
チェックリストが扱うのは後者だけという点です。

チェックリストは、
「良い賭けを見抜く魔法の道具」ではありません。

そうじゃなくて、
良い賭けを、どうでもいいミスで落とさないための保険です。

この役割を誤解してしまうと
チェックリストは一気に胡散臭くなります。


3|チェックリストは、思考停止の道具ではない

正直に言うと、
私も長い間、チェックリストに違和感がありました。

単純すぎるし、
思考を止めている感じがするし、
「これをやれば安心」みたいに聞こえる。

でも、ガワンデの事例をちゃんと読むと、
チェックリストが単純化しているのは判断そのものじゃありません。

単純化しているのは、

  • 忘れてはいけない最低条件
  • 考えなくていい作業
  • 毎回悩む必要のない部分

つまり、チェックリストとは、

判断を奪う仕組みではなく、
判断を使わなくていい領域を固定する仕組み

なんですよね。

これは、
「判断疲れを減らす」
「判断の出番を減らす」
という話と、ほぼ同じ方向を向いています。


4|チェックリストは「実行OS」として効いてくる

賭けの思考の中でも、一番恐れているのは、
戦略以前のところで致命傷を負うことです。

  • 資金管理のミス
  • 体調管理の崩壊
  • 人間関係の断絶
  • 説明責任を果たせない状況

これらは、戦略の良し悪しとは関係なく起きますし、
しかも一度起きると、回復に時間がかかる、または
もしかしたら、戻れない。

チェックリストが効くのは、まさにこの層です。

  • 「今日は最低限これをやったか」
  • 「ここは確認したか」
  • 「この賭け(判断)は、生存のラインを割っていないか」

つまり、これは期待値を上げるための仕組みではなく、
生き残るための実装に近いんですね。


5|複雑な賭けほど、一人で抱えない方がいい

ガワンデがもう一つ強調しているのが、
「本当に複雑な問題は、個人では解けない」という点です。

投資も、人生設計も、ほぼ同じです。

  • 正解は事前に分からない
  • 想定外は必ず起きる
  • 視点は必ず偏る

だから必要なのは、「正しい答えを持つ人」ではなく、
いわゆるツッコミ役を持つ構造です。

一人で賭け続けないこと。
独走しないこと。

これは精神論ではなく、
破産確率を下げるための設計だといえます。


6|チェックリストを信じすぎない、という話

ここは明確にしておきたいのですが、
チェックリストは万能じゃありません。

  • チェックリストは安心装置ではない
  • やっているから大丈夫、という免罪符でもない
  • 戦略そのものをチェックリスト化すべきではない

ここのラインを越え、思考停止すると危険です。

私の中での位置づけは、かなり明確です。

チェックリストは、
賭ける前の保証ではなく、
賭け続けるための補助輪

期待値を見るのは、別の仕事。
チェックリストは、それを現実世界で破産しないないための牽制アイテムです。


結論|「正しい賭け」を、最後まで続けるために

人生や仕事は、期待値ゲームです。
同時に、生存ゲームでもあります。

多くの人が失敗するのは、
賭けが間違っているからではありません。

正しい賭けを、凡ミスで落としているだけです。

チェックリストは地味です。
成果も見えにくいし、評価もされにくい。

それでも私は、
賭けの思考を現実で使う以上、
この「地味な実行OS」を外せません。

期待値の高い人生戦略を、
途中で終わらせないために…



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