こんにちは、ジャイアンです。
今日はちょっと身もフタもない話から始めたいと思います。
「もっと努力しろ。競争を勝ち抜け」
と言われ続けるのは、正直しんどい。
一方で、
「無理しなくていい。ありのままでいい」
と言われても、なぜか心からは安心できない。
このどっちにも完全には乗れない感じ、
心当たりがある人はかなり多いんじゃないでしょうか。
現代って、
頑張りすぎると壊れそうで、
頑張らなすぎると何も積み上がらない
そんな微妙な場所に、多くの人が立たされている気がします。
起業家・佐藤航陽さんの
『ゆるストイック――ノイズに邪魔されず1日を積み上げる思考』は、
この二択そのものを疑ってきます。
がむしゃらに頑張れ、でもない。
全部手放せ、でもない。
世界の構造をちゃんと見たうえで、淡々と続けよう。
今日はこの考え方を、
「生き延びるための戦略」として整理してみます。
1|成功は「才能」よりも「運」に左右されるという前提
まず、本書で一貫している前提があります。
それは、成功は才能だけでは決まらないということです。
人の能力や才能は、
だいたい正規分布っぽく広がっています。
でも、結果や報酬は違う。
一部にドカッと集中する、いわゆる「べき乗則」に近い。
つまり、
才能の差は小さいのに、
結果の差はとんでもなく大きくなる
という現象が、普通に起きます。
ここで大事なのは、
「じゃあ努力は意味ないの?」という話ではない点です。
努力は必要です。
ただし、それだけで勝てる保証はない。
この冷静さが、この本の一番いいところだと思います。
この前提を受け入れると、
結果が出ないときの見え方が変わるんですよ。
「自分は能力が足りないんだ」と
即断しなくてよくなる。
見るべきなのは、
一回一回の勝ち負けではなく、
試行を続けられる状態にいるかどうか。
ここが、次の話につながります。
2|戦略は「独自性」×「外部構造」で組み立てる
運の影響が大きい世界で、
全部を自力で何とかしようとするのは、だいたい無理があります。
そこで出てくるのが、
「独自性」×「タダ乗り」という考え方です。
ざっくり言うと、
- 独自性:自分がコツコツ積み上げる部分
- 外部構造:すでに世の中にある仕組み
独自性は、自分で作るしかありません。
時間も集中力も、ちゃんと使う必要があります。
でも、
広める仕組みやインフラまで
全部自前でやる必要はない。
ここで言う「タダ乗り」は、
サボるという意味じゃありません。
限られたリソースを、
一番効く場所にだけ使うための割り切りです。
この考え方があると、
- どこはガチでやるか
- どこは借りるか
を、感情じゃなく構造で決められます。
ただし注意点もあって、
独自性がないまま外部構造に乗ると、
ただの消耗戦になりやすい。
この非対称性は、ちゃんと意識しておいた方がいいです。
3|「努力は報われる」という期待を手放す意味
私たちはずっと、
「努力すれば報われる」と教わってきました。
本書ではこれを、
社会を回すために便利だった
公正世界仮説として整理しています。
今の社会は、
努力と結果がきれいに対応しない場面の方が多い。
だから必要なのは、
努力をやめることではありません。
努力に対する“見返りの期待”を下げることです。
期待を下げると、地味にいいことが起きます。
- 失敗しても自分を責めにくくなる
- 「もうダメだ」と投げ出す理由が減る
評価軸を「結果が出たか」から
「今日も続いているか」に移す。
これは根性論じゃなくて、
確率の高い世界で生き残るための、かなり現実的な態度です。
4|時間と年齢を「戦略モデル」として扱う
本書では、
時間や年齢についても、いくつかの仮説が出てきます。
ここは
「科学的に正しいかどうか」よりも、
行動を決めるためのモデルとして読むのがよさそうです。
たとえば、
- 若い時期は、競争より独自性
- 年齢が上がるほど、意志より仕組み
こう仮定したほうが、
行動がシンプルになります。
年齢の変化を
なかったことにするより、
前提として組み込む。
その方が、無理がありません。
時間を無限だと思わず、
有限な資源として扱う。
それだけで、戦略は一気に現実寄りになります。
まとめ|今日、何をストイックにし、何を手放すか
『ゆるストイック』は、
成功の裏技を教える本ではありません。
これは、超格差社会を前提にした、生き延び方の整理です。
- 成功はコントロールできない
- だから、続けられる形を作る
- 独自性には集中する
- それ以外は借りる
- 結果への期待を下げる
- 試行は止めない
全部まとめると、「淡々と積み上げるための設計」です。
もし今日、何かを少しだけ見直すとしたら。
どこをストイックに残して、
どこを静かに手放しますか。
その選び方自体が、もう立派な戦略だと思います。


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