導入|なぜハイキングでは「靴」が最優先なのか
ハイキング装備の中で、最も失敗が表に出やすいのが靴です。
転倒、疲労の蓄積、想定外の撤退。
その多くは、足元の不安定さから始まります。特にバンクーバー周辺のトレイルは、濡れた岩、木の根、ぬかるみが多いので、晴天前提の装備では対応が難しい場面に容易に出会います。
私たちは夫婦で歩くことが多いので、ペースを揃えたり、立ち止まって景色を見たりする時間も長めです。
その分、「軽快さ」より「安全性」を重視してきました。
この記事では、靴の分類や選び方だけでなく、購入時に実際に何を確認すべきかも含めて整理してみたいと思います。
定義|ハイキングシューズの基本的な分類
ハイキング用の靴は、大抵は大きく次の三つに分けられます。
- ローカット
軽量で街歩きとの兼用がしやすい。整備された短距離トレイル向き。 - ミッドカット
足首のサポートと歩きやすさのバランスが良い。初心者から経験者まで対応範囲が広い。 - ブーツ(ハイカット)
防水性と安定性を重視。雨季や秋冬、足場が悪い環境向き。
「ハイカット=上級者向け」という誤解は根強いですが、不安定な路面が多い地域であれば、経験値に関係なくハイカットの安定性を優先する流べき合理性はあります。
判断軸|靴選びで必ず見るべき5つのポイント
1|グリップ
濡れた岩や木道で滑らないか。ソール素材とパターンは最重要項目です。
2|防水性
GORE-TEX などの防水透湿素材は雨天や水たまりで効果を発揮します。ただし完全防水ではない点は理解しておく必要があります。
3|安定性
足首のホールドとソール剛性。視線が景色に向いたときほど、足元の安定性が効いてきます。
4|重量
軽さは疲労軽減につながりますが、軽量化しすぎると安定性を失います。ここは明確なトレードオフのポイントです。
5|履き慣らし前提
どんな靴でも慣らしは必要です。履き始めから本番投入しない設計が重要になります。
あと軽量モデルの偏重は BC 州の雨季トレイルでは撤退リスクを過小評価しがちなので、それに引っ張られないようにしましょう。
夫婦で歩く前提だから見えてくる条件
私たちは基本的に夫婦で歩きます。
ペースを揃え、立ち止まる時間も長い。犬連れの人が多いトレイルでは、泥や水たまりを完全に避けることはできません。
さらには、景色やグラフィティを見ながら歩くため、常に足元だけを見ているわけでもありません。
こうした条件を重ねると、「多少重くても、安定していて、防水性がある靴」という結論に自然と寄っていきます。
これだけ言っておいて恥ずかしいのですが、私たち夫婦も、よく二人とも山の中では山道で滑りそうになったり、実際に転倒したりしていますので、
リアルな実体験からも、靴が大事なことを力説していると、ご理解ください。
実は私たちは、雨季でも「どんな天候でも歩く」わけではありません。
雨が強そうな日は、無理にトレイルに入らない、というのを一つのポリシーにしています。
安全装備でリスクを下げることと、
そもそもリスクが高い条件を避けることは、別の判断です。
靴でカバーできる範囲には限界がありますし、
夫婦で歩く以上、転倒や怪我の確率が上がる状況は最初から選ばない。
その前提があるからこそ、靴選びも「過剰に攻めない」方向に落ち着いています。
私たちが使っている靴

私たちは夫婦でお揃いの The North Face のハイキングシューズを使っています。
理由はシンプルです。
- スポーティなデザインで、出発から下山後の街歩きまで違和感がない
- ミッドカット中心で、安定性と歩きやすさのバランスが良い
- 防水モデルが多く、雨や湿った路面でも安心感がある
「山専用」に寄りすぎないことで、
トレイル → カフェ → 街歩き という流れが自然につながいる気がしています。
結果として出番が多くなって、履き慣らしも進みました。これは継続性の面で大きな利点です。
参考例|他ブランドの代表的な選択肢
あくまで判断の具体例として、よく選ばれるモデルも整理しておきます。
Salomon(ミッドカット)
グリップとホールド感が強い。濡れた岩が多い環境向き。
Merrell Moab
クッション性と価格のバランスが良い。初めての一足として無難。
KEEN Targhee
つま先保護と幅広設計。長時間歩行で安心感がある。
HOKA(ハイキング系)
疲れにくさは魅力。ただし安定性はモデルごとの差が大きい。
どれも万人向けということはありません。合わない条件が必ず存在することは前提なので、自分の足にあった靴を選んでください。
とはいえ、別に完璧なフィットを求める必要はないです。
下記のポイントを概ねちゃんとクリアしていれば、そんなに神経質になる必要はありません!
購入時に必ず確認したい実務的チェックポイント
注意|試着の目的は「サイズ合わせ」ではない
ハイキングシューズの試着は、
「履けるか」ではなく「歩き続けられるか」を確認する工程です。
1|必ずハイキング用の靴下を履いて試そう
- 普段の薄手ソックスでの試着は避ける
- 実際に使う厚みの靴下を持参する
- 厚みが違うとサイズ感と摩擦が大きく変わる
2|試着は午後〜夕方が基本にしよう
足は一日の後半ほどむくみます。朝ぴったりの靴は、後半で窮屈になる可能性があります。
3|つま先の余裕(捨て寸)を確認しよう
- 目安は約1cm
- 立った状態でつま先を軽く押す
- 下りを想定して前に体重をかける
4|かかとの浮きをチェックしよう
- 紐を通常どおり締める
- 数分歩く
- かかとが上下に動かないかを見る
5|足幅と甲の圧迫感使用
- 小指の付け根が当たらないか
- 甲の上に圧迫感が出ないか
「履いているうちに伸びる」は期待しない方が無難です。
6|可能なら傾斜を想定して動いてみよう
- 店内の傾斜台があれば必ず使う
- なければ前後に体重移動する
- 特に下り方向の感触を重視する
あと、靴を買って嬉しいからって購入直後に本番投入しないように気をつけてくださいね。
最初は街歩きや短距離トレイルで鳴らして、靴擦れや圧迫が出ないか確認しましょう。
(私たちの前日に買った靴の慣らしはLynn Canyon Parkでした)
ちょっと問題があれば早めに交換するなどの判断をしてください。
よくある誤解|避けたい判断基準
- 軽いから正解
- 人気モデルだから安心
- 少し痛いが慣れるはず
これらはすべて、途中でリタイヤしやす靴を選ぶ判断基準です、やめときましょう。
楽しみに行って、靴で苦しむ必要はありません。
ぜひフィットする靴を選んで、最大限にハイキングを楽しんでください。
まとめ|良い靴とは何か
良い靴とは、評価が高い靴ではありません。
履いてから途中で歩けなくなったりせず、歩き終えたあとも行動を制限しない靴です。
夫婦で歩く。
雨季も歩く。
下山後に街にも戻る。
私たちの場合も、こうした条件を重ねれば、選択肢は自然に絞られてきました。
ご自身の判断軸と購入時のチェックポイントを押さえておけば、靴選びで大きく失敗することはありません。
自分の足に合った靴を選んで、
無理なく、安心して、ハイキングを楽しんでください。



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